本田圭佑、吉田麻也、一流サッカー選手を支えるホペイロ 松浦紀典 - サッカー魂

本田圭佑、吉田麻也、一流サッカー選手を支えるホペイロ 松浦紀典

本田圭佑、吉田麻也、一流サッカー選手を支えるホペイロ 松浦紀典 10/12(木) 14:16配信 朝日新聞デジタル 本田圭佑、吉田麻也、一流サッカー選手を支えるホペイロ 松浦紀典 本田圭佑を支えるホペイロ 松浦紀典  取材に訪れたちょうどその日、松浦紀典さんの元にサッカー日本代表のDF吉田麻也選手から、次の国際親善試合で使うスパイクの手入れを依頼する連絡が入った。

【写真】本田選手(ピンク)と吉田選手(黒)とのスパイクではひもの通し方が違う

 吉田選手のスパイクのソールは、靴底の突起(スタッド)が固定されている「固定式」と、スタッドが金属でできていて着脱できる「取り換え式」、その両方が混ざる「ミックス」の3種類がある。試合当日の天候やグラウンドの状態で履き分けるため、3足とも松浦さんがひもを結び直し、スタッドがちゃんと締まっているか確認し、中敷きをより滑りにくいものに替え、クリームを塗って仕上げる。

 「こういった作業は選手自身がしない方が、より試合に集中できて、ピッチで100%力を出せますよね」

 そう話す松浦さんの仕事は、スパイクをはじめユニホームやボールなどサッカーの用具を管理すること。サッカーの本場ブラジルではポルトガル語で「ホペイロ」と呼ばれている。

 例えばスタッドの位置や長さ、ひもの結び方さえも、選手のプレースタイルや好みによって違う。それらをすべて把握して最適なスパイクにするのもホペイロの役目だ。「ちょうどそこにあるんですけど」と言って松浦さんが見せてくれたのは、CFパチューカ所属の本田圭佑選手の新しいスパイク。「ミリ単位の繊細さを持っている」という本田選手のスパイクは、フリーキックを蹴る時に邪魔にならないよう、つま先に一番近いひもが、下側にくるよう結ばれている。

 「本田選手をはじめフリーキックを得意とする選手は、蹴る瞬間、微妙に指を動かして方向やカーブを微調整するそうです」

 その時にスパイクの革が硬いと指の動きがうまく伝わらないため、革の状態には最も注意を払う。クリームで保湿し、時には表面をマッサージして、革本来のなめらかさや柔らかさがちゃんと保たれているか、最後は必ず素手でさわって確かめる。 ブラジル人ホペイロと運命の出会い 「自分の師匠はブラジル人なんですけど、ブラジルでは『手袋感覚』って言うそうです。手袋って指の動きに対してその通りに動いてくれるじゃないですか。靴もそういう感覚になるように仕上げていますね」

 その師匠とは、ブラジル代表チームのホペイロを務めたこともあるルイス・ベゼーハ・ダ・シルバさん。ブラジルで活躍していた三浦知良選手が帰国して当時の読売サッカークラブに入団する際、ホペイロが日本におらず選手自身がスパイクの管理していることに驚き、「それではサッカーが発展しない」と主張してブラジルからベゼーハさんを招いた。そのベゼーハさんと松浦さんとの出会いは、全くの偶然から生まれる。

 会社員だった松浦さんはある時、「日本のサッカーは下手でつまらない」とバカにしていた日系ブラジル人の同僚を連れて、読売クラブの試合を見に行った。試合が終わって自動販売機でジュースを買っていると、ちょうど通用口から出てきたのがベゼーハさん。雑誌の小さな記事を見てホペイロという仕事に興味を持っていた松浦さんは、同僚に通訳してもらって話しかけた。

 それをきっかけにベゼーハさんと松浦さんは知り合い、ちょうどベゼーハさん自身に「日本人のホペイロを育てたい」という夢があったことから、Jリーグが開幕した1993年、ヴェルディ川崎(現・東京ヴェルディ)と名前を変えたチームに松浦さんは呼ばれる。松浦さんは振り返る。

 「あの試合に行かず、行ったとしても通訳ができる同僚と一緒じゃなかったら今の自分はないと思うと、本当に運命的な出会いでした。もっと言えば(三浦)カズさんが帰国してホペイロがいないのはおかしい、って声を上げてくれなければ、自分たちの存在はなかったわけです」 次ページは:高校生の本田選手と交わした約束 前へ12次へ 1/2ページ

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